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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1899年、グルジア
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狙い目

「――なら、教えてあげる」


「どうにも物騒な雰囲気だね……」


「元から物騒な話ではあったの。でも、あなたも十分、物騒みたいだから」


 笑い事ではないのに、自然、笑みがこぼれる。

 今の僕は、獰猛な顔をしているのだろうか。

 彼女の反応からは、今ひとつ分からない。


「率直に言うわ、皇后を狙いなさい」


「……相手は人妻だよ」


「混ぜ返さないで。ニコライ二世は決して愚かじゃない。でも愚かじゃないだけに、かえって面倒でむずかしい」


 言葉に詰まる。

 決して愚かでない皇帝の、それゆえに辿り行くであろう道。

 それこそまさに、僕の学んだ歴史ではあった。

 20世紀初頭、帝政ロシアの終焉に至っていく歴史。


「それなら、一貫してる皇后から攻める方がいいはずでしょう」


 何が一貫しているのか。

 それを問うのは、どうにも憚られた。


「ええっと……いや僕は……」

 

 ようやく、僕は気付く。

 皇后を通じての、皇帝一家の無事か。

 それとも、ひとまずのロシアの存続か。

 いま突きつけられているのは、恐らくそんな選択肢なのだと。

 より血を流さずに済むのは、果たしてどちらなのだろう。

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