表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1899年、グルジア
94/350

選択肢

 僕が手にしたのは、ついさっき飲んでいた方。

 鮮やかな赤い色、すなわち、自家製のワインだ。


 両手で持ち直し、コップを彼女の前に置く。


「うん。やっぱり、こっちの方が大事だと思う」


 この選択そのものは、そこまで重要じゃないはずだ。

 もちろん、これで終わりでもない。

 本番はたぶん、この後のやり取り。

 つまり“大事”になるのは、選んだ理由の方だ。


「――その理由は?」


 一呼吸だけ置き、僕は答える。


「いつも飲んでるから……かな。あの立派なワインがダメな訳じゃない。あれはとても素敵なものだし、僕も気に入ったよ」


「――なら、いつも飲んでたのがこっちなら?」


 ガラス瓶のワインを指し、彼女。

 これは正直、むずかしい問いだ。

 数秒だけ時間が空き、やがて僕は首を横に振る。


「それは僕に分不相応な習慣だと思う。だから、その仮定には意味がない。とにかく、僕にはこのグルジアワインの方が大事だね……何しろ、ジョゼファが作ってるものだし」


 最後は少し余計だったかも知れない。

 僕の、恐らくはどうしようもない甘さゆえの。

 でも、余計だったかも知れないけど、僕の本音だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ