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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1899年、グルジア
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レンガ

 コップを持ち直し、注がれたワインに目を向ける。

 いつも飲んでいるワインとはだいぶ違って見える。

 真っ赤というよりはレンガの色、澄んだ赤茶に近い。

 ほんの少し、醤油を思わせもする色合い。


 思い切って、僕はワインを口に含む。

 口の中いっぱいに、古びたぶどうの匂いが広がる。


(うわ……)


 甘さ酸っぱさ、ほろ苦さが入り交じる、複雑なおいしさ。

 似たような体験を探してみても、ちょっと思いつかない。


 瓶にラベルが無くて、詳しくは分からない。

 でも本当にいいものなのは分かる。

 ゆっくり、時間をかけて、僕はその一杯を飲み干す。


 それにしても、と僕は思う。

 彼女のワインの扱いは、そう丁寧には見えなかった。

 なのにガラス瓶の底、溜まった澱が動いていないように見えるのは、一体どうしたことだろう。

 何かコツでもあったのだろうか。


 気付くと、彼女が新たなコップふたつを持ってきたところだった。

 食卓にあるそれと同じく、陶器製のもの。

 ただ、わずかばかりの水が注がれている。

 おそらく外の井戸から汲んできたのだろう。

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