表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1899年、グルジア
87/350

水の滴

「僕は――」


「その気がない、は通らない」


「でも」


そう(・・)じゃない。あなた自身にその気がなくとも、それはあり得ること」


 いつの間にか、調子が変わっている。

 俗世の者を諭す、予見者のように。

 辺境の魔女。

 いつしか付いたその呼び名は、決して飾りではない。


 何か言わなければ。

 そう思ってはいるのに。

 現実の僕は押し黙り、ジョゼファの言葉をただ聞いていた。


「確かに、あなたはそう(・・)じゃない。でも、そう(・・)あり続けるとは限らない。飛び方を見れば鳥は分かる。でも食事時になれば、食欲は湧いてくるもの。そして、食欲は性質を変える」


「……空腹は優れた料理人、なのかな」


 つかの間、僕らの間に笑みが戻る。


「甘い嘘より苦い真実、とも言うでしょ」


 ――ユーリは甘いんだから。

 いつか言われたことを、僕は思いだしていた。

 あれから数年。

 それでもまだ、僕は甘いのだろうか。


 僕はまた、もうひとつの諺を思い出していた。


“モスクワは涙を信じない”


 その意味?


“泣いても誰も助けやしない”

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ