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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1899年、グルジア
84/350

道行き

 僕は知っている。

 ――いや、ロシアに住み目端の利く者たちは、今や誰もが知っている。

 動乱の源は、決して国と国だけではないことを。

 強大なはずの帝国も、足下から崩れ得ることを。


 神が護りたまう皇帝(ツァーリ)

 民を栄光で、敵を恐怖で支配する皇帝(ツァーリ)

 かつてそう歌われた時代は、もはや過去の遺物になろうとしていた。


「これからは、君の力が必要なんだ」


 一人が力を持ち過ぎ交代の利かない“制度”は、近代国家を背負うにはもろ過ぎる。

 けれども。

 もしうまく使えたなら、その安定はロシアにとって大きなものになるはずだった。

 その為にも、僕だけの力では足りない。

 彼女の力が、洞察と人を惹き付けるその力とが必要に思えた。


「僕としてもうれしい。もし僕に付いてきてくれるなら、だけど――」


 日本との戦争まで、あと5年。

 これはほとんど、ギリギリと言っていい提案だった。


 1899年、初夏。

 僕はようやく、身の振り方を決めようとしていた。

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