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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1898年、サンクト・ペテルブルク
80/350

元の通りに

 防寒着の上から、男は僕の左腕にさわる。


 手慣れていることはすぐに分かった。

 痛くもくすぐったくもない、余計な反応を引き出さない程度の力で、僕の腕の様子を探る。

 その手つき目つきは、まちがいなく本職のそれだ。


「――そっちこそ、意外に知識階級(インテリゲンツィア)じゃないですか」


「おいおい……金貸しか何かとでも思ってたのか?」


「そう言うの、もう少しそれらしい人が言う台詞ですよね」


「ははは、そいつあ違いねえや」


 そうこうしている間に、男の“診察”は終わったようだった。

 実質1分かかったかどうか。手際の方も良さそうだ。

 ふたたび距離を置き、結果を言い始める。


「半ば分かっちゃいたつもりだが……さすがに時間が経ち過ぎてるな。こいつは俺の手に負えねえ。多少はマシになるかも知れねえが、元通りには、な」


「日常生活を送るくらいなら、そう不自由はないですよ」


 別に強がりじゃない、単なる事実だ。

 余計な施しはいらない。ただそれだけの話。

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