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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1898年、サンクト・ペテルブルク
74/350

エイリアス

「僕の名はユーリ。ユーリ・アリルーエフです。――まず、あなたのお名前は」


 不意を突かれたように、男は笑い出す。


「そう言えば、そうだったか」


 なぜ忘れていたのだろう、と言わんばかりに。


「いや、すまねえな。ミハイル、ミハイル・シチェドリンだよ、兄弟(ブラット)


 短いその呼びかけが、そう悪くはない気がした。

 少なくとも、同志(タヴァーリッシ)との言葉よりは。


「もっとも、こいつを本名と勘違いしてもらっちゃ困るがね」


「――でしょうね」


 風刺作家からの借用とはすぐ分かった。

“私の名はドストエフスキーです”

“アントン・チェーホフと申します”

 たとえばこう名乗られても、本名とは断じがたい。

 いや、チェーホフの活躍は、もう少し先のことだっただろうか。


「もっとも、僕としてはそれで構いませんが」


「言うねえ。じゃあ次だ。まさか、お名前紹介で終わる気でもないだろ?」


「ええ」


 とは言うものの、限りなく答える訳でもないだろう。

 今はただ、男、ミハイルの興が乗っているだけだ。

 主導権はあくまで、向こうのものでしかない。

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