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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1898年、サンクト・ペテルブルク
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生まれつき

「なんだお前、俺が怖えのか、あ?」


 残念なことに、その指摘は正しかった。

 僕の小さな震えは、決して寒さだけではない。

 己の力のなさが、無性に悔しい。


 両の手に力を込める。

 左手には、うまく力が入らない。

 この先ずっと、うまくは動かないだろう。


「……その腕はどうした」


 言って、僕の左腕に視線が注がれる。

 流行り病の爪痕が残る左腕に。


「――生まれつきですよ。それがどうかしましたか」


「お前、もう少しマシな言い方したらどうだ?」


 呆れたように、男は言う。

 心なしか、少し態度が和らいだようにも見える。


「前のときのことは覚えてるぜ。新聞、普通にめくってただろ。生まれつきのはずが無え」


「――だとしたら?」


“お前には関係ない”との意を込め、僕は言う。


 真正面から僕の顔を見据えて。

 男はひとつ、大きく息をつく。


「この夜中じゃ見分けにくかったがな、証拠、その面に残ってるぜ。なあ、話してみなよ、兄ちゃん。今回のところは、一度それで勘弁してやらあ」

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