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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1895年、グルジア
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講和

 どうやら、戦争が終わったらしい。

 そんな噂が聞こえてきたのは秋、冬も間近な日のことだった。

 小さな島国と大きな陸国が戦争をして、意外にも、島国の圧倒で終わったのだとか。


 ぶどう一粒ほどの島が、雪豹ほどの陸を倒した。

 ――昔話の巨人(スヴャトゴール)でもつまずくことがあるのか。

 ――昔話の英雄(イリヤー・ムーロメツ)でも石には転ぶだろう。

 ――いや石は石、二度はないだろう。

 小さな村の人々は、そんなことどもを話し合っていた。


 なるほど、と僕は思う。

 無名であるとは、つまりそう言うことなのだ。

 小国は小国でしかなく、大は小を兼ねない。


 1895年、秋。僕は働いていた。

 それなりの広さの農場の片隅、つまり村の料理屋のすぐ隣で。

 労働には慣れたものの、空腹どきにトマトと肉の香辛料煮(オーストリ)の匂いはやはりこたえる。

 それを察してか、僕の雇い主は声を掛けてくる。


「これが終わったらお昼にしましょう」

「あと半時くらいかな? 了解」


 何はともあれ、僕は働いていた。

 後にロシアを支配するはずの魔女、ジョゼファの下で。

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