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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1897年、グルジア
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運と才

「でも……」


「――それでも僕に言うのかな。力を尽くせ、てさ」


 初めて挑発的に、僕は言う。


「もちろん、僕は運がいい。君に拾ってもらえて、数年こうして生き延びることができる程度には。そして世の中には、運も才も、力さえも、ひときわ恵まれている旅人(パシージル)がいるのかも知れない――でも僕は違う、そいつらとは違う、単にほんの少しだけ先の、知識を持っただけの人間でしかないよ」


 それから王家の呪いについて、僕は話した。

 呪いが今に至る経緯と、知る限りの手だてと。

 その手だてをとることの難しさを。


「幻滅させちゃったかな。何か期待させてたなら、悪いことをしたと思う」


「私は……」


「慰めならいらないよ。同情もだけど」


 そんなものは今まっぴらだ。


「ただ、僕は僕で考えた末のことではあるんだ……そのことだけは覚えていて欲しい」


 僕の嘆息と。

 僕ら二人の、石のような沈黙。

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