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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
【第一部】 1894年、グルジア
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信仰

 安上がりな本にも満たないサイズの、ありふれた小型機械スマートホン

 立ち止まり何かを調べようとして、誰が怪しむでもない。

 でもそれは、110年ほど後の話だ。


 剛性ガラスと貴金属レアメタルでできた、場所外れの機械オーパーツ

 電波は届かず電源の当てもない上に、事故の衝撃で画面の少しひび割れたガラクタ。

 これを目の前のーーおそらくは不審を抱きつつあるーー彼女に、どう説明したものだろう。

 厄介すぎる。厄介すぎて思わず、神さま(ボーフ)にでも祈りたくなる。


 このとき、僕が祈りたくなったのは幸いだった。

 少なくともこの瞬間、“何か”が手を貸してくれたのだと思う。


「あなたにとってもそうかは分からないけど」


 電源を切り画面を真っ暗にしながら、僕は切り出す。


「大事なものなんだ。この通り、ひび割れてしまったけど」


 言ってガラス面を見せた後で、右手に持ったまま十字を切った。


 嘘じゃない。

 この機械が大事なのも、目の前の彼女にとってどうか分からないのも本当だ。

 ただ嘘ではないと言うだけ。“勘違い”が分かったなら、追い追い訂正していけばいい。

 たとえばこの機械を、護符か何かと思うような誤解は。


「……分かったわ」

「ありがとう」


 ゆっくりと、僕は手を差し出す。

 あとは何とか、この後の助けを求めるだけだ。


 ともあれ前途の難は多そうだった。

 今度ばかりは、祈ってもいられないくらいに。

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