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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1897年、グルジア
59/350

前置き

「どうぞ、あなた方のお力を」


 エフゲニー氏の言葉に、僕は我に返る。

 彼女だけではなく、僕にも向けられた言葉に。


「どうか頭をお上げ下さい。詳しいことは分かりかねますが――」


 ようやく、僕は切り返した。

 従者としての立場をもはや離れて。

 頭を上げた氏を、真っ直ぐ見据える。


「いえ、今のあなたに、仔細を伺うことはいたしません。第一、まだ起こってもいないことのはずです。そのことについてまず、言葉を慎みたく考えております」


 まだ起こってもいないこと。

 今年生まれるのが皇女であること、次もその次も皇女であること。

 5人目に生まれるのが、病を生まれ持った皇子であること。

 ――それらを遠因に、一家が民から疎まれるに至ること。


 そう、あくまで可能性の話なのだ。

 あくまで僕がいた歴史のこと、この今もそうだとは限らないはずだ。

 それはうそ偽りのない、僕の願いでもあった。


「ですが、仮定のお話でしたらできましょう。あくまで、仮定の話ではありますが――」


「……ぜひ、お願いしたく思います」

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