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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1897年、グルジア
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遺伝病

 ロシア王家(ロマノフ)の血の呪いとは何か。

 遺伝性の、血液の凝固に支障をきたす病。

 つまり血友病のことだ。


 王家の場合はこうだ。

 まず、アレクサンドラ皇后が血友病遺伝子を持っている。

 子供が男の子の場合、50%の確率で血友病の症状が出る。

 一方で女の子の場合はもう片方、つまりニコライ2世の遺伝子が代理で働くため、血友病はほぼ発現しない。

 これこそが代々受け継がれている呪いの正体だ。


 そして僕の知る限り、それがほぼ全てでもある。

 遺伝子を改変し修正するなどという技術が、19世紀末にあるはずもない。

 そもそもまだ、遺伝子という概念が提唱されてすらいないのだから。

 いや僕のいた21世紀でさえ、完全に治す方法は確立されていなかったはずだ。


 かろうじて言えるとするなら、凝血成分の適宜の輸血だろうか。

 でも血液型の概念はなく単純な輸血もままならない今、こう披露する意味があるのかどうか。

 無力な僕の、それが知識の限界だった。


 歯噛みしながら、僕は思う。

 使えることのない知識は無に等しいのだと。

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