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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1897年、グルジア
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言い分

 けれども、言い訳の結果はあまり変わらないようだった。


「……このことは、くれぐれも内密に願います」


 いったい、氏はなぜ頷いてしまったのだろう。

 このときまでなら、いくらでも回避できたはずなのに。


 僕らに深々と下げられた頭を見て、僕は己の迂闊さを呪うことしかできない。

 何しろ僕は、エフゲニー氏の懸念を“見事に当てて”しまったのだから。

 洞察や超能力は勘違いであって、実は問題そのものを知っていた。

 そんなこと、氏にとっては予想外でしかないだろう。


「――ええ、もちろんです」


 口ごもる僕をよそに、彼女は言う。

 十分に間を置いて、威厳を持たせた口調で。

 こうなっては彼女の存在がいっそう心強い。


「……ありがとうございます。では、打開策の方もお願いできますか? たいへん残念ではありますが、私の力では……」


 氏が浮かべた表情は、偽りようのない無念さだった。

 おそらくは主治医として、いざというときの為にあらゆる手を尽くそうとしたのだろう。

 そうしてなお、力及ばなかった。決壊、との単語が頭に浮かぶ。

 心境を察せていなかったのは僕の方だ。


 けれども。

 もうひとつ、エフゲニー氏には勘違いしていることがある。

 何かの原因を知っているからと言って、その解決策を知っているとは限らないことだ。

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