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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1897年、グルジア
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立会い

「ではエフゲニーさん、お話をお聞かせ頂けますか」

「ええ。ですが、その前に申し訳ないのですが」


 言って本当に申し訳なさそうに、僕の方を見る。

 その先は言わなくても分かる。

 秘密を知る者は、極力少ない方がいい。

 当然と言えば当然の話だ。


「――それは承知しかねます」


 はっきりと彼女は言う。

 僕の知識への必要ゆえとは思いつつ、うれしいのは否定しがたい。


「私は18の娘に過ぎません。腕力で言えば、30半ばの殿方にはかなわない。そうでしょう?」


 初めて感情を見せ――やや不服な様子で――エフゲニー氏は頷く。

 あるいは、あまり直裁に物を言われたことがないのかも知れない。

 もしかして僕が思ったより、ずっと大物なのだろうか。


「あなたを疑っている訳ではありません。“いざというとき”のために備える、私の弱さをお許し下さい」

「……分かりました。あなたがそこまで仰るのでしたら、大丈夫なのでしょう」


 いつも通り、どうやら同席はできるみたいだ。

 エフゲニー氏は続ける。


「とは言え、あまり具体的に話すことはできないのですが。その点については、こちらをお許し頂きたい」

「ええ」

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