立会い
「ではエフゲニーさん、お話をお聞かせ頂けますか」
「ええ。ですが、その前に申し訳ないのですが」
言って本当に申し訳なさそうに、僕の方を見る。
その先は言わなくても分かる。
秘密を知る者は、極力少ない方がいい。
当然と言えば当然の話だ。
「――それは承知しかねます」
はっきりと彼女は言う。
僕の知識への必要ゆえとは思いつつ、うれしいのは否定しがたい。
「私は18の娘に過ぎません。腕力で言えば、30半ばの殿方にはかなわない。そうでしょう?」
初めて感情を見せ――やや不服な様子で――エフゲニー氏は頷く。
あるいは、あまり直裁に物を言われたことがないのかも知れない。
もしかして僕が思ったより、ずっと大物なのだろうか。
「あなたを疑っている訳ではありません。“いざというとき”のために備える、私の弱さをお許し下さい」
「……分かりました。あなたがそこまで仰るのでしたら、大丈夫なのでしょう」
いつも通り、どうやら同席はできるみたいだ。
エフゲニー氏は続ける。
「とは言え、あまり具体的に話すことはできないのですが。その点については、こちらをお許し頂きたい」
「ええ」




