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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1897年、グルジア
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名乗り

「ジョゼファ様、お客様がいらっしゃいました……ええっと」


 そこでようやく僕は、先方の名前を訊ね損ねていたことに気付く。

 と言うより、僕の名を名乗ってもいなかったはずだ。

 思いもよらぬ失点に、僕はうろたえる。

 つくづく、物思いには浸るものじゃない。


「――ジョゼファと申します。こちらはユーリ、以後お見知り置きを」


 事情を察してか、ほどなく彼女から助け船が出た。


「あなたのお名前をお聞かせ願えますか」


 相変わらずとしか言いようがない察しのよさだ。

 ……いや、今は感心するのをやめておこう。

 すぐ気が散るのは僕の悪い癖だ。


「エフゲニーです。どうぞ、よろしくお願いします」


 言って客人は二度、頭を下げた。

 一度は彼女に、一度は僕に。

 ――僕の非礼を一切咎めるでもなく。


 この仕草に、僕は少し認識を改めた。

 用件が何かまではもちろんまだ分からない。

 けれども、僕が腹芸を挑むのはむずかしそうな相手だと。

 ここはおとなしく、彼女に任せた方がよさそうだ。

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