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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1897年、グルジア
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お芝居

 もっとも、僕は僕で、このお芝居に乗り気だったことは記しておきたい。


 今まで僕は、迂闊に何かを公言する訳にはいかなかった。

 100年後の知識をふるうことは、力を誇示することにほかならない。

 それはまた、自らの立場をあやうくすることでもある。

“奇跡”を目の当たりにした人々が、素直に平伏する――そんな寛容は、はかない一夜のおとぎ話でしかないのだから。


 けれども。


 手品の舞台が整ったとなると、話が変わってくる。

 魔術は魔術でしかなく、それ以上でも以下でもないはずだ。

 サーカス(ツィルク)でもお芝居でもいい。

 ともあれそこは、僕が役に立てる舞台だ。

 ささやかながらも人助けになるのなら、それはそれでうれしい。


 不安があるとすれば、あの男(・・・)のことだった。

 どこからともなく、流行り病へのワクチンを調達してみせた者。

「また」とだけ言い残し、僕から去って行った者の。


 想像するに、彼はなにがしかの採用担当だったのではないか。

 各地を旅し、いざというとき(・・・・・・・)のために目星をつける。

 彼(彼ら?)にとって僕らが“無用不要”であるなら、それに越したことはない。

 ――少なくとも、僕にとっては。

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