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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1896年、グルジア
41/350

投降

 危険が僕の身にも迫っているのは確かだ。

 ワクチンにより天然痘が駆逐されて以降、少なくとも一般人は天然痘ワクチンと縁がない。

 稀にウィルスが変異し病気を引き起こすこともあったのだ、本元の天然痘がなくなった以上、中止はある意味当然と言える。

 僕もまた一般人であった以上、ワクチンにも、当然そこから得られる免疫にも縁がない。

 

 この状態で“本元”に接した場合、生き死には完全な運だ。

 状況によって4割をこえる死亡率に、あまたの後遺症。

 かからないに越したことはないが、このグルジアが――ロシア帝国とトルコとの狭間に位置する――交通の要衝である以上、そうもいかないだろう。

 人通りの多さは必然、持ち込まれる感染症の多さでもあるのだから。


 もっとも、僕の身一つの問題なら、大したこととは思わなかったかも知れない。

 僕が引っかかっているのは、彼女、ジョゼファの言葉だった。

 天然痘とそのワクチンについて、僕が話したときの。


 ――それなら、村の子供たちも助かるわ。


 もちろん、村ではまだ(・・)病が流行ってはいない。

 けれども上の世代には、その恐ろしさを直に知る者は大勢いた。

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