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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1896年、グルジア
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移行

 休息までの時間は、思いのほか短かった。

 僕ら以外の人はみんな、井戸のそばで休んでいる。

 馬車の外に出て、思い思いに身体を伸ばしているのだろう。

 もちろん、僕もそうするつもりだった。


「整理はついたかな?」

「ええ」


 うなずき、僕は少し間を置いた。

 もう一度、目の前の男を見る。

 少なくとも、腕っ節がきくとは思いがたい。

 不都合があれば、言わなければいいだけの話だ。


「トリビシには、用事があるんです」

「ほほう」

「人助け……なんだと思います。病気の薬のお話ですから」


 考え込むように、男は言う。


「言いたくないならいいが、それは手に入りにくいものか?」


 今度は僕が考え込む番だった。

 事実として、僕は何度か、そのもの(・・)の入手に失敗している。


「……ええ」

「あまり貴重なものなら無理だが手伝えるかも知れないな」

「伝手か何かですか?」

「まあそんなとこだ。ところで、実は“人材”を探していてね。もちろん、合法じゃない方面だが」


 今日の天気はどうだろう、そんな調子の話しぶりだった。

 あまりの不釣り合いさに、僕は問い返す。


「……もう一度いいですか?」

「二度は言えないな。ああ、念のために言うが、聞くなら深入りすることになる」

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