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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1896年、グルジア
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道行

 都会に住む人間の、無意識の傲慢さ。

 腹の虫の居所が悪かった、とでも言えばいいのか。

 いや、要はこのときの僕が、単に暇を持てあましていたのだろう。


「僕に時間があるかどうかは分かりません。なので、学び尽くしたいとは思っています」


 返ってきたのは、いかにも意外、と言った顔だった。

 ここから、少なくともふたつのことが分かる。

 ひとつは、ある程度は察しがつく頭を持っていると言うこと。

 もうひとつは、不意を突かれても怒り出すような真似はしないと言うことだ。

 どうやら、話し相手には不自由せずに済みそうだった。


「……驚いたね。いったいどんな戦場を潜ってきたんだ? いや、話したくないなら、その、ここで止すが」


 頭だけでなく、踏み込み過ぎない距離感もある。

 ますます好ましい。

 その好感を胸の内にしまいながら、僕は答える。


「いえ、そういう訳ではないですよ。田舎では単に、よそより人の命が軽いだけの話です」

「……なるほど。あまり年寄りを驚かさないでくれよ」


 無論、そう言うほどに男は年をとっていない。

 僕は再び、会話を返す。

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