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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1905年、ポーツマス
335/350

世俗

「ジョゼファ氏については、計りかねる事が多すぎる」

「……そこまで、分からないものでしょうか」

「率直に言えば、そうだ。もっとも。この件に関して言えば、君の理解の方が深いはずだがね」

相棒である、僕の方が、とでも」


 確かに、相棒ではあった。

 僕の方はそのつもりだ。

 でもそれはあくまで、かつての話だ。


「――むこうの方は、そう思ってないかも知れないな」

「最初から相棒だなんて思っていなかった、と?」


 穏やかに、老宰相は首を振る。

 僕のお手つきを、そっと正すかのように。


「違うのは相棒の方ではないよ、の方だ」


 心臓が痛む。

 見ないふりをしていた急所に、杭を打たれた気がして。

 そうであっても不思議ではない。

 不思議ではない、けれど。


「あくまでも、、です……少なくとも、今の僕の中では」

「――そうか。ならば今は、そう言う事にしておこう」

「さすがに話が早い、助かります」

「助けついでに、このことも言っておこう。君達・・は存外、似ているのだよ」


 心外だった。

 考えたことさえ無かったはずだ。

 それとも、傍目にはそう見えているのか。


「……正直なところ、初耳です」

「ならば、言う意味があったという事だ」

「でしたら。よろしければの話ですが、具体的にはどこが」

「ほかでもない、世俗からの遠さが、だよ」


 冗談ではなさそうだ。

 といって、必ずしも褒める風でもない。

 それこそ、真意を計りかねた。


「君も――恐らくはジョゼファ氏も――行動原理が常人の延長線上にない。と言って、常人の考えを解せぬ訳でもない。その事が、ある種の強みでもある」

「裏を返せば、弱みでもある、と?」

「然り。もっとも、君の場合に限って言えば、だがね」


 かなり痛いが、事実だろう。


「及んでいない、と」

「事実としては、そうだ。だが――可能性はある、そう私は見ているよ」

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