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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1905年、上海
310/350

機転

「――あなたが、私なら」


 言葉を選ぶ気配。

 恐らくは考えてくれてるのだろう。

 あくまでも真摯に。僕の身になって。


「癖を気づかれたことに、あくまで気づかない振りをする。そうして、3ゲーム目は一度捨てる」


 探る気配で、その言葉は続く。


「一度捨てても、4ゲーム目に裏を取ればいい。4ゲーム目まで捨てれば逆に疑われるかも知れない。だから、一度だけ捨てる。最初から癖を見抜くような相手に、最終戦をとればいいとの油断はしない」

「なるほど、そうする手が……」


 向けられた真摯には、真摯でもって相対するほかない。


 僕は緊張を解いた振りをする。

 すべて表向きになるよう、卓上に手札を放り投げた。

 そして言葉を選ぶ。

 投げやりめきつつ、かつ決定打をとられないように。


「――この通りだよ。僕の手札に、ジョーカーはない」


 言葉にはしない。

 それでも、弛緩はしたのだろう。

 なぜなら、彼女もまた手札を開いたからだ。

 卓上へと、表向きに。

 同調行動という奴だ。


 瞬間、僕はすべての札を見てとる。

 場に見えているのは12枚。

 A、2、3、4、5、6、9、T、J、Q、K、ジョーカー。

 そして後は。


「ひとつ、謝らなければいけないことがあるんだ」

「小細工ならお互い様でしょう」

「うん、その件ならね。でも、そうじゃないんだ。なぜなら」


 同時に、僕は伏せ札を表返す。

 とがった帽子をかぶり背を丸め、笛を吹く小男。

 白黒の絵の、その札は。


手違いで(・・・・)、12種類しかなかったんだ」

「――!」


 まぎれもない、もう一枚のジョーカーだった。

 彼女が仕込んだものでない、僕が紛れ込ませた方の。


 そう。最終戦の前、ひとつ条件があった。


  1・トランプのカード13種類(・・・)を使う


 すなわち。


「ゲームの開始前、そもそも条件を満たせていなかった事になるね……この場合、果たしてどうしようかな?」

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