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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1896年、グルジア
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飛行

 気球とも飛行船とも違う、いまだ完成せざる乗り物。

 それが19世紀末の飛行機だった。

 恐らくはまだ数人しか為し得ていない、空への旅。

 それはほとんど、20世紀に月や火星におもむくのと変わらなかったはずだ。

 そしていつの時代も、――古代でも大航海時代でも――きっと各々の憧憬があったのだろう。


 とは言え。


 今のところそんな冒険に縁がない僕は、ごく普通の個人同様、地道な手段で移動する他なかった。

 具体的には徒歩か、それとも馬車かだ。


「――それ、いいか?」


 馬車の右隣に座る男に促され、僕は回し読みされている新聞を渡す。

 男は無言で肯き、一面を飛ばし雑多な中身から読み始める。


 一言で言うと狭い。

 そんな中、獣皮の匂いと人の汗が漂っている。

 新聞を派手に広げられると厳しいが、特にそうではない。

 その点に関して言えば、ありがたいと言えばありがたかった。


 人だけでは無理な距離を運ぶこと。

 馬車とはつまり、そう言うものなのだ。

 料金も乗り心地も問うものはいない。

 耐えられないなら移動できないか、余計に時間がかかるだけ。

 本当に、ただそれだけのことだ。


 燃料で動く機械馬車ができるのは、まだほんの少し先のことだった。

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