感想戦2
3戦目と4戦目。
あまり思い返したくはない。
敗れたせいではない、それ以前に内容が酷かった。
言ってみれば、ほぼ完璧に打ちのめされたせいだ。
率直に、触れたくはない。
けれども、一切触れないのも不自然。
弱みである、そう取られたくもない。
それくらいの意地は、僕にもまだ残っている。
「3戦目は、手癖?」
だから、短く訊ねる。
「ええ」
その返答も、また短い。
「あなたの手札を並べ替える癖。これは1、2戦目で明らかだった。ひとつ、ダメ押しはしたけれど」
何のことか、その位は分かる。
3戦目まで。うかつにも、僕は手札を並べ替えていた。
そして指定を受け、端から2番めを僕は提示する。
――彼女から見て、端から2番めにしか成らないであろうカードを。
あれはだから、確かにダメ押しだったのだ。
並べ替えて、特に警戒してなどいない。
つまるところ、無意識の手癖なのだと。
「……じゃあ4戦目は。いや、最初が手品なのは分かるんだ」
複数枚のカードを握り込む。
僕が外したら、そのカードだけを差し出す。
あたかも、最初から分かりきっていたかのように。
出来るかどうかではない。
説明がつく。それで十分だった。
ハッタリと言えばそうだ。
けれども反則ではない。そう僕は思う。
反則ではない。ただスレスレなだけだ。
その予言めいた演出を、見抜けないほうが間抜けなだけで。
「その後のタネが、たぶん目線なのも分かってる」
並べ替えない。
手元を注視されていて、並べ替える訳がない。
ならば、ひとつしかないはずだ。
目で見て、頭の中で並べ替えるしか。
――待ち受けていた魔女が、視線を見ているとも知らずに。
あの時の僕はけれども、ああする他なかった――本当に?
「教えて欲しいんだ」
純粋な疑問。
思い至れなかったはずのこと。
そこにたどり着くため、ただ静かに、頭を下げた。
「教えて欲しい。ジョゼファ、君なら――君が僕なら、どうしたかを」




