感想戦
率直に答えてくれる。誤魔化しもない。
その言葉に、おそらく嘘はないはずだ。
でも果たして、どこから聞くべきだろう。
わずかに悩み、僕はゲームの順を追うことにする。
「――じゃあ、まずは1戦目から」
一度そうすると、聞くべきは決まっていた。
「最初に僕が指定したカード。あれは、当たってたんだよね?」
純粋な疑問ではない。
あくまでも、それは確認。
「ええ」
短く裏付けがとれる。
僕は頷き、先を促す。
「驚きはしなかった。あり得ることではあったから。それでも、少しだけ疑ったのは本当」
「と言うと、何を?」
「鏡、のぞき窓、仕掛け札――そういった事を。つまらない仕掛けがあるなら、真面目につきあう必要はない」
なるほど、確かにそうだ。
そして少なくとも、その時点で僕は仕掛けていない。
「探りはした。でも気配がない、なら今のところ何もないと考えた」
決して油断はしていなかったのだろう。
状況を的確に把握しつつ、ゆめゆめ甘くはない。
それこそが、今のところの僕との違いだった。
「――ありがとう。なら2戦目の投了。あれは、わざとだよね?」
その一方で、これは疑問の部分だった。
疑問。より正確には、疑いを捨てきれなかった箇所。
その疑心暗鬼が、回り回って僕を追い込んだのだから。
「決めていた、とは言っておくわ」
「何を?」
「2戦目の前に。あなたが何を指定しても、決めていた」
ふたたび、僕は先を促す。
「あなたが当てようが当てまいが、こちらの手の内を伏せる――投了することを。それと」
言い出す前の、わずかな間。
どうした事だろう。
あらかじめ、あまり触れられたくない気がした。
「――手癖の確認。あれが、2ゲーム目の前に済んだ。あなたが手札を並べ直すときに。投了するに、特にためらう理由もなくなった」




