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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1905年、上海
301/350

決着

 ――一度で十分。

 それはつまり、当てるということだろうか。

 いま伏せている、あの札を。


 一回目の僕の指定はジョーカー。

 これは彼女が持っていて外れた。

 残るは僕の手札6枚と伏せた1枚。

 それにもう1枚。

 見かけ上は計13種類になるよう、1枚を抜いた。

 ただし、何を抜いたかは僕にも分からない。

 そこまで意図的であれば、万が一に見破られると危険だからだ。


 万が一。

 たとえば、一回目に僕が外した場合。

 たとえば、たった今のような。


「一回で十分、とはね……」


 おそらく、まぐれではない。

 純粋に必然としか称せない何か。

 彼女から見えていない札はこうだ。


 A、3、9、T、J、Q。

 それに伏せ札1枚と外した札1枚。


 この8枚から、僕が何を持っていないか。

 すなわち、偶然に何を伏せたのか。

 そう言えるだけの材料は、既に揃っているのだろう。

 けれども、何を。どうやって?

 それが何なのか、僕には分からない。

 その事実こそが、僕の心をなおも傷つける。

 目の前の魔女に、もはや及ばなかったのだと。

 ゆえに。


「――聞くよ」


 ゆえに、僕は問う。


「君の宣告、聞こうじゃないか」


 精一杯に、胸を張って。


「ええ」


 そうして短く、彼女は答える。


「私の指定は――ジョーカー」


 確かに、僕の手札にないカードを。

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