再提案
「最終ゲームの前に、確認しておきたいのだけど」
言って、僕は以下の旨を述べる。
1・トランプのカード13種類を使う。
2・ゲーム開始時に伏せカード1枚、手札6枚ずつを配る。
3・先手はカードをひとつ指定する。後手は手札にある場合、指定されたカードを公開し手札から出す。提示できない場合、後手の敗北となる。
4・後手のターンに移る。後手は3を行う。
5・相手がブラフを行使したと考えた場合、相手の手札開示を要求できる。ブラフでなければ即敗北する。
6・どちらかがカードを提出できなくなるまで、これを繰り返す。
あくまでただの確認だった。
少なくとも、ほとんどの部分では。
「こんな所でどうかな?」
「任せるわ――どちらにしても、同じことと思うけど」
同意はあっさりとしたものだった。
僕はまた、もうひとつの事を確かめる。
13枚。
新たなトランプの山を伏せたままテーブルに置く。
「さっき、水をこぼしちゃってね……もうひと束、借りてきたよ」
「再会の杯でも、と思ったの」
「うん。でも、思い直したよ。旧知の間を温めて、手加減してくれる君じゃないってね。まあこれで最後なんだ、君にも確認して欲しい」
「それも任せる。あなたの方で、トランプを切って貰えればいい」
思った通り。
思った通りの反応だった。
「……分かったよ。じゃあ」
一度トランプの束を手にし、テーブル下に隠す。
そのまま手元から目をそらし、山札を混ぜた。
赤子の寝息と、紙と紙がこすれる音。
ふたつの音だけが数秒、室内に響く。
「まずは、配るよ」
言うとテーブル上、裏向きにトランプを並べる。
まずは6枚、そして6枚。
最後に、伏せ札の1枚。
「じゃあ、いいかな?」
「ええ。このままで」
かくして。
僕と魔女は、決着の時を迎える。




