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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1895年、グルジア
29/350

安堵

 S F(ファンタスティカ)めいた、僕の背景。

 ともあれ僕は、彼女へ話すことに決めたのだ。

 僕にとっての過去を。すなわち、これから起こるであろう未来を。


 もちろん、不安がない訳じゃない。

 ここでの失敗はおそらく、途方もない代償を意味するのだから。

 わずかばかりの蓄えがあるとは言え、よそでやり直す気力はそうそうない。


 人見知りの僕が、今も何とかやっていけていること。

 たぶんそれだけ、僕を気遣ってくれていると言うことでもあるのだろう。

 彼女にしろ、村の人たちにしろ。何と言おう、いろいろと忍びないことだ。


「一応、念のために言っておきたいのだけど」

「?」

「何を話しても変わらないでいてもらえると、僕としてはうれしい」


 おそるおそる、子供のように言う。


「ええ」


 迷いのない返事と。

 何だそんなことかと言う笑顔に、少しだけ安らぐ思いがした。

 

「……ありがとう」


 これは素直な、僕の心の底から出た言葉だったように思う。


「それじゃ、まずは午後の作業を終わらせましょう」

「うん」


 まぎれもない安堵。

 それとも僕は、このとき疲れ切っていたのだろうか。

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