ルール
提案したゲームは、およそこんな所だ。
1・トランプの同マーク13枚を使う。
2・ゲーム開始時に伏せカード1枚、手札6枚ずつを配る。
3・先手はカードをひとつ指定する。後手は手札にある場合、指定されたカードを公開し手札から出す。提示できない場合、後手の敗北となる。
4・後手のターンに移る。後手は3を行う。
5・どちらかがカードを提出できなくなるまで、これを繰り返す。
要は、伏せたカードを当てるゲームだ。
「どうかな?」
わずかに思案する顔。
そう、この穴には、彼女なら気づく。
「――担保がないわね」
「と言うと?」
「このままなら、最初に自分の手札を指定した方の勝ちになる」
その通りだ。
そしてこの指摘までは、想定通りでもある。
「そうだね。なら、どうしようか?」
「――その前に、確認しておきたいの」
「?」
「あまり長くはかけたくない、区切りが欲しい」
なるほど。
ルールの提案前に言うのが、いかにもらしい。
こちらとしても、一度は聞かざるを得ない。
――長すぎず、けれども思考を巡らせるに足る時間。
少しだけ考え、僕は言う。
「じゃあこうしよう。指定は1分以内。試合は最高で5セット、つまり3ゲーム先取」
「1ゲーム5,6分ね――いいわ」
「ありがとう。じゃあ、そちらの提案をお願いするよ」
「指定された側に、カードを開ける権利が必要」
相も変わらず、端的な言い方だ。
その端的さは、長所ばかりでもない。
「先手が自分の手札を指定していたと考えたなら、後手は先手の手札開示を要求できる。ただし、これを使い外したなら、即座に1ゲーム落とす扱い――これでどう?」
「うん、いいんじゃないかな」




