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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1904年、北海、ドッガーバンク
268/350

萌芽

 ――でも、もしかしたら。

 そう思い至ったあの感情は、今となっても上手く記しがたい。


 あるいは(・・・・)僕なら(・・・)


 ……僕なら?

 僕ならどうだと言うのだろう。

 左腕の力をほとんど失い、航海の途上で壊血病に蝕まれている僕。

 挙げ句、提督に素性の一端を見抜かれる、間抜けな僕。


 待ち受けるであろう惨劇を止めるに、必要なものは何か。

 戦争を止め収容所を止め、虐殺を止めるに足る身分。

 いや、身分と言っていいのかどうか。


 力。


 力だ。


 そんな力など、今の僕に(・・・・)あろうはずがない。


 ――ならば。

 ならば話は簡単だ。

 何者か(・・・)に成ればいいだけだ。


 浮かんだその先を、僕は打ち消しかねていた。

 その何者か(・・・)がいかなる存在か。

 想像は、あまりにも簡単過ぎて。


 僕は不意に、元いた世界のことを思い出していた。

 全ロシアを支配していた、血まみれた女帝のことを。

 左腕に、少しだけ力がこもる。

 女帝の亡霊に、わずかながら触れる思いがして。

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