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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1895年、グルジア
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敬意

 僕が彼女の才に、払い得る敬意とは何だろう。


 この先、村に来るであろう流行り病を予防すること。

 彼女の持つ才を自覚してもらうこと。

 そしてどうにか村の外へ、外の世界へ連れていくことだ。


 あるいは僕になら、彼女の才をいい方向に活かせるのかも知れない。

 秘められた彼女の才と、僕の知識。

 あり得たかも知れない、いや、あり得るべき(・・・・・・)歴史の空想。

 こんな考えは、果たして不遜な行為だろうか。


 あるいは叶うかも知れない、果てしなき空想。

 ただし、それにはまず条件がある。

 ……叶えるためには何より、今この場でうまく説明しないといけない。


「ちょっとむずかしい話なんだ」


 まずはひとつ、僕は切り出す。


「素直に話すと時間がかかる、この場ではちょっと」


 一時的な留保と同時に、棚上げにしている訳ではない意志も示してみせる。

 これ以上の追求は、この場では恐らくしづらいはずだ。


「……そうね」


 一息置いて、彼女は言う。


「どうやら素直に言ってくれる気になったみたいだし。長くもなりそうだし、ね」

「うん。じゃあ、いつがいいかな?」


 これは実質、確認みたいなものだ。

 この場では無理だけど、気が変わる前。

 つまり、“いつ”は早ければ早いほどいい。

 たとえば、夕食の時間なんかはどうだろう、


「そうね……今日の夕食どきはどう?」


 僕としては、それまでに少し時間があればいい。

 何はともあれ、僕には少しでも時間が必要だった。

 体制を立て直し、彼女の前で即興を演じずに済むだけの時間が。

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