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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1904年、北海、ドッガーバンク
252/350

応酬

「――なるほど、納得しました」


「いやに素直だな」


「とんでもない、いつも素直ですよ。辞書(スラバリ)で素直の語を引いたら、用例でユーリ・アリルールエフって出て来る」


「違いない」


 軽口の応酬は、次なる話題への備えだ。

 と言っても、今の僕にはまだ(・・)切り込むようなことはない。

 攻防は必然、ほとんど固定されている。


「……もうひとつ、いいかね」


「内容にもよりますが」


「聞いたら戻れなくなるかも知れない」


 そこまで言われたら、かえって知りたくなろうものだ。

 人払いをする一方で、選択権は僕に預ける程度の問題。

 このときの僕は、そう判断した。


「分かりました。では、続きをどうぞ」


 提督は、残りの紅茶を一息にあおる。

 つられて、僕の器を見る。

 コップは、ほとんど空に近い。

 調理長は……いない。

 そう言えば先程、人払いされたのだった。


「――ちょうど僕のも空っぽです、注いで来ましょう。何にします?」


「あれば、ウォッカを」


 もちろん、あることはある。

 他の艦を見ても、例の無いことではない。

 けれども、このひとには珍しい。


「ウォッカを、ですね?」


 甘いかもしれない。

 けれども、あるいは酔いにつけ込むことになるかと思うと、あまりいい気はしない。

 確かに、疲れにウォッカは効く。時に、効き過ぎてしまうほどに。


「ああ」


「――では、注いできます。少々お待ちを」


 コップをふたつ、自由の利く右手で取る。

 不意に揺れることも考えると、ひとつずつ運んだ方がよさそうだ。


 厨房に入り、まずはポットから、僕の分の紅茶を注いでいく。

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