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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1895年、グルジア
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予期

 どこで“小さな嘘”をつくべきなのか。

 それはどうあるべきなのか。

 そこまで追い込まれて、僕はようやく、思い違いをしている可能性に気付く。


「一応、聞きたいんだけど」

「ええ。何?」

「これを言い出したのは誰なのかな?」

「と言うと?」

「つまり、その、僕のための集会なんだけど」


 今日の村の様子におかしなところはない。

 少なくとも僕には、僕への敵意や不信は感じられなかった。

 ならば、この査問を企んだのは誰か?

 もしかしたなら、いざと言うときへ機先を制するため(・・・・・・・・)の、彼女の配慮ではなかろうか。


「私が言い出したの。この先何があるか分からない(・・・・・・・・・・)でしょ」


 僕は、いや、僕だけは知っている。

 大陸と島国との終戦条約は、いずれ大国の干渉を生む。

 干渉はまた、次の戦争を呼ぶだろう。大国と島国の戦争を。

 そこに至る戦間期の緊張に、正体不明のよそ人は滞在を許されるだろうか。

 一瞬だけ、何かいやなものに触れた気がした。


 そして僕はようやく、別のことに気付く。

 彼女が看破した、僕の嘘についてだ。

 ひとつは、本当に僕の嘘が下手な可能性。

 もうひとつは、彼女の察し方が凄まじい可能性だ。

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