ふた皿目
メインひと皿目の決定。
正直なところ、そうむずかしい事ではない。
肉料理を提出すると決める段階で、メニューはかなり限定される。
ジャガイモ・フリットの変更点も、劇的にメニューを変える程ではなかった。
その変更にしても、迷うほどのことでもない。
ただ、ふた皿目はかなりの悩みどころだ。
ふた皿目を決めるのは、かなりの困難がある。
なぜか。それはもちろん、今回ふた皿しか提出できないからだ。
フランス料理の、それも形式を考えると、出題者の意図はかなり限定されることが分かる。
前菜、サラダ、魚料理、スープ。
正直に出したなら、メインの肉料理とデザートに辿り着く前に余裕でふた皿をオーバーしてしまう。
つまりこの試験形式では、フルコースそのままを求められてない。
おそらくは、ひと皿で複数種類を兼ねる類のひねり方も。
ゆえに提出に際しては、メニューを的確に取捨選択しなければならない。
そして当然ながら、メインの肉料理を外すことはほぼあり得ない。
ほとんど誰もやらないだろうけど、これでやらかすと大減点は避けがたいはずだ。
メインの料理は必須であり、ここは単に通過点にすぎない。
ならば、とさらに僕は考える。
肉料理の提出だけでは、決して測り切れないものとは何だろう。
ここでたとえば焼く系統の魚料理を提出してしまうと、余程の腕でも減点されるのではないか。
焼く技能ならば、肉料理でも測れることだからだ。
メニュー選定による補完とPR。
ここを正確に読み取れるか、そして明確に表現できるかが、今回かなりのポイントになるはずだ。
ここまでが出発点。
なればこそ、ここからが非常にむずかしい。
試験参加者全員にとって、頭の悩ませどころになるはずだ。




