保証
確かに僕は、嘘が下手なのかも知れない。
だからみんなの前で、「ありのまま」を話したとする。
――誰かにここへ連れて来られた? それは不幸な。
――ここで暮らしたい? 大変だろう、手を貸そうじゃないか。
――1994年生まれ。うん、今なんて言った?
……ここからさらに、正直に話したとしよう。
――100年ほど間違えている訳ではないと。ふむ。
――なるほど未来から来たと。ちょっとよく分からないな。
――からかっている訳でもない。どうやら、君について考え直さないといけないようだ――。
地雷が今の時代に存在するなら、この状況への比喩に足りることだろう。
ついでに言えば、『タイムマシン』が書かれるのは今年のはずだ。
無理。率直に言って、その一語に尽きる。
「いや、“ありのまま”って言うけど、僕は」
言いかけて言葉を切った。
店長さんが皿を下げに来たからだ。
ひとしきりの回収と立ち去りを待って、僕は続ける。
「……ええっと、その、僕は」
「大丈夫よ」
心配はいらない、とばかりに彼女。
「ユーリはユーリだもの」
なるほど、確かに大丈夫ではあるのだろう。
それが並の背景だったなら。