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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク 【その2】
200/350

のこり

 残りわずかの紅茶を飲み干し、老人は言う。


「では、そろそろお(いとま)するとしましょうか」


「――もう、ですか?」


 その言葉とは裏腹に。

 僕の声に、どことなくほっとした色は出ていたかも知れない。


「少ないとは言え、まだ残り時間はありますからな。いや、そう警戒なさらず。この歳になっても、友人を失いたくはないのです」


 残り時間(・・・・)

 老人の寿命だろうか。

 これからのロシアのことだろうか。

 あるいはそれとも、そのどちらともか。


「分かりました。――外は晴れそうですね、足下にお気を付けて」


 その言葉にわずかに、老人が笑う。


「やはり、暖かいところに親しんだ方、ですな。この地(イルクーツク)の冬では、凍ったままです」


「ああ、なるほど。確かに凍ったままなら、ですね」


 その事実を、僕が知らなかった訳ではない。

 ただ言葉の隅々まで、この地での暮らしが浸透していないだけだ。


「仰る通り。――では、また」


「ええ……では」

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