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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
【第一部】 1894年、グルジア
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足し算

 ことの起こりはこうだ。

 むずかしくはない、ほんの少しの足し算。


・決まってしまった外大卒業

・さっぱりと決まらない就職


 蒸し暑い夏が終わり、そろそろ紅葉が見え出す頃の話だった。

 そしてそこに、もう一つを足す。


・交差点の横断


 その結果?


・車に轢かれ、雪のなか派手に突っ伏す僕


 雪のおかげか大したケガはない。状況を振り返る余裕もある。

 ……雪? 記憶が確かなら、今は秋、秋だったはずだ。

 少なくとも、雪が積もる覚えはなかった。


「……何がどうして」


 身を起こそうと地面に、いや雪に手をつく。

 冷たい以前、痛さをしか感じない。

 覚えのある雪とはかなり違う気がした。


「……いや、この雪は」

大丈夫(シュトー・スヴァーミ)?」


 ロシア語。そう分かる程度には、僕は大学に居過ぎていた。

 顔を上げると、心配そうな女の子が飛び込んでくる。

 年の頃は、十代半ばと言ったところだろうか。

 起きあがり、手と顔の雪を払う。


ありがとう(スパシーバ)。……ええっと、聞いていいかな、ここはどこかな?」


 笑顔を見せたつもりだけど、少しこわばっていたかも知れない。

 何を言っているのか、という顔で答えが来る。


「ゴーリーよ」


 残念なことに、その響きには覚えがあった。

 覚えはあったけれど、驚かないかと言うと話は別だ。


「聞こえなかった? ロシア帝国、グルジアはゴーリー。これでいい?」

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