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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク 【その2】
197/350

面倒事

 やや怪訝そうに、老人は答える。


火花(イスクラ)、と言ったはずです。もっとも、誌名が変わっていなければ、の話ですな」


「……なるほど。ありがとうございます」


 ようやく、納得がいった。何に?

 サンクトペテルブルグで、警官がしきりに言っていた言葉に。

 つまるところあれは、軽い探りだった訳だ。

 ――もっとも、探られても知らないことに答えようはないのだけど。

 首都で僕が答えたものはだから、官憲と僕との妥協の産物でしかない。


 無用な苦痛を可能な限り避けたい僕。

 面倒な取り調べ(・・・・)を軽減したい官憲。

 逮捕自体は冤罪だけど、取り引きとしては筋が通る。

 20世紀初頭。

 この時代の取り調べ(・・・・)に公平を期待するほど、僕はもう青くない。


「……首都でいろいろと調べられましてね、そのハッタリの中に、火花(イスクラ)との言葉がありました。知らないものは知らないのですが」


「それであなたは、何と?」


 少しだけ笑い、僕は答える。


「もちろん、自白(・・)しましたよ。無意味な意地を張る趣味は、僕にはないですから」


 老人もまた、少しだけ笑う。

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