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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク 【その2】
195/350

良き者

 どうしようもなく、解きようのない誤解。

 苦しまぎれに僕は、ひとつの質問を思いつく。


「――いや、僕のことはもういいでしょう。今度はこちらの番だ、そうですね?」


「左様ですな、ご随意に」


 一息だけつき、僕は投げかける。


「その質問を、いや試問を、あなたは何人にしてきたのですか?」


 顔の端を少しだけ歪め、老人は笑った。

 その様相に、僕は火種を垣間見た。

 手段を選ばない者の気配を。

 そして――それきりだ。

 正確に答えるつもりはないが、誤魔化すつもりもない。

 老人は確かに、約束を守っているのだろう。


「……なるほど、分かりました」


「あなたを特別に(・・・)見込んでいるのは本当ですよ。ロシアで良き者は、素質ある者はみな流刑に遭って来ました。ドストエフスキー然り、ラジーシチェフ然り」


「――ラジーシチェフ?」


 聞き覚えはあるが、よく思い出せない名前だ。

 並べると言うことは、それなりに有名な名前なのだろう。

 少なくとも、老人にとっては。

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