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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク 【その2】
193/350

たとえ

「ひとつ、たとえ話の問答をいたしましょう」


「……それは、1対1(・・・)の内ですか」


「私は構いませんな。もしユーリさんが望むのでしたら、ですが」


 どうにも引っかかる言い回しだ。

 これがあるいは、勧誘の手口なのだろうか。

 ともあれ、引っかかっているだけでは話が進まない。

 うなずき、僕は先を促す。


「あなたが医者であるとしましょう」


「僕はただの流刑囚ですよ」


「たとえ話、です。あなたの考える常識の範囲で、率直に答えて頂ければよろしい」


「――続きを」


「あなたが医者であるとします。目の前に胃潰瘍を患っている人がいる。今のところ自覚症状はない、けれどあなたにとって、腹を開き処置しないことには致命的になるのは明らかだ――あなたなら、どうします?」


「無論、切りますよ」


 胃潰瘍なんか、早めに手術すればいいだけのことだ。


「迷う必要なんか、どこにもないでしょう」


 常識的に(・・・・)間髪入れず答えた後で、僕はその思い違い(・・・・)に気付く。

 僕と老人との間の、100年以上に及ぶ常識の違いに。

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