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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク 【その2】
192/350

勇者様

「私と違って」


 老人は言う。


「ユーリさんには才能がある。偉大な革命家の、少なくとも片鱗が」


 これを素直に肯定するほど、僕も若くはない。

 老人は果たして、何人もの若人にこう言ってみせたのだろう。

 そう思うと、かすかな身震いが生まれた。

 ――身震い?

 いや、これは素直に認めておこう。

 これはたぶん、恐れだ。


 さながら勇者の気分。

 使い捨てにされる勇者が、そのことに思い至ったときの。

 ――もっとも、剣を渡され褒めちぎられたところで、僕に世界を救う理由などないのだけれど。


「買いかぶりですよ」


 いくばくか冗談めかし、僕は答える。


「僕より腕っ節が利く人間も、僕より策略が得意な人間も。僕が知る限り、上には上がいる。少なくとも僕は、偉大と言われるほど自惚れてはいないつもりです」


 純粋に行為の花束(・・)であれば、賞賛を受け取ったかも知れない。

 けれども老人の花束は、匂いが不穏に過ぎた。

 花の中身を確認せずには受け取れないほどに。

 たとえるなら、血と火薬の匂いだ。

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