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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク 【その2】
191/350

8年間

 正直なところ、これは苦しい言い回しだった。

 目の前にいる人間に興味が失せたこと。

 どう婉曲に伝えたところで、それは非礼でしかないのだから。

 その程度の社交を、僕は身につけていた。

 日本からグルジア、そしてロシアに飛ばされた、この8年間で。


「――なるほど、承知しました。が、お忘れなきよう」


「と言うと?」


「了承するのは、本日の歓待に免じて、です。最初の話では、ひとつきりとは限定されていなかったでしょう」


 やはりと言うべきか、お見通し、と言う訳だ。

 こうなると、僕としてはどうにも苦しい。

 己の気まぐれを苦々しく思いつつ、僕は答える。


「恩には着ません。――ただ、覚えておくことにします」


 この言い回しは、老人のお気に召したようだった。

 わずかに、セルゲイ氏から笑顔がこぼれる。


「あなたはまだ若い身だ。手練手管を身につける歳月は、この先にも残されているはずです」


「――そう言うことはジョゼファの、相方の守備範囲ですね。できれば、使わない道を歩みたいものです」

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