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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク 【その2】
190/350

一対一

「――では、そちらからどうぞ、お訊き下さいますか」


 老人のその言葉が、僕を現世に引き戻す。

 若干の失望と、己の気まぐれへの苛立ち。

 両方をともに押し隠し、僕は考える。


 ……どうしたものだろう。

 ほんのわずか前、僕は何かを聞こうとしていた。

 少なくとも、その気で居たのは確かだ。

 でも不意に、そんな事がどうでもよくなってしまった。

 そんな事、と言えてしまう程度には。

 こうした状況での質問は、ほとんど消化試合に等しい。


「ええっと、その」


 つぶやいてはみるものの、どうにも答えは出ない。

 ――出ないものは仕方がない、僕は素直に口にする。


「その、よろしければ僕の方を後にして頂けませんか」


「ほう?」


「つまり、少し考え直したんです。一点聞くことを考えるの、やはりむずかしいことです」


 これは半分だけ本当だ。

 ひとつだけとも、何でもとも言っていない。

 誓ったのはただ、偽証しないと言うことだけだ。

 僕が聞きたいことは失せてしまった。

 ならば、僕も老人も(・・・・)ひとつずつの方がいい。


「――ふむ」

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