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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク 【その2】
187/350

小麦粉

 全粒粉の小麦粉をバターと砂糖で練り、生地を型で抜いてから主にシナモンから成るスパイスを振りかけ、じっくりと暖炉オーブン(ペチカ)で焼く。

 どうと言うことはない、かなりシンプルな部類のクッキーだ。


 クッキーを分ける小皿は、紅茶の皿でいいだろう。

 皿を追加でとなると、微妙に気を遣わせることになるかも知れない。

 僕はそのまま缶をとり、食卓に向かう。


「――お待たせしました」


「おお、済みませんな」


「ひとまず、今ある物を持ってきました。お気に召すといいのですが」


 これは本音だった。

 癖がないのは白い小麦粉――僕のいた時代ではごく普通の――高級品で焼いた方だ。

 もちろん、白い小麦粉が手に入らない訳でも、手が届かない訳でもない。

 全粒粉を使ってるのはだから、純粋に僕の好みの問題だ。

 表皮(ブラン)と胚芽の荒々しい風味が、小麦粉全体を引き立てる。

 この荒々しさが、僕の好みだ。


 それにこの時代に限って言えば、何と言っても全粒粉小麦粉の方が安いのだ。

 困ってこそいないけど手持ちは限られている今、多少なりともありがたい話だ。

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