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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク 【その2】
186/350

お菓子

「――どうされましたかな?」


 老革命家のその言葉に、僕は現実に戻る。


「――済みません、セルゲイさん。ちょっとめまいが」


 嘘ではない。

 とめどない思考は、めまいにも似る。


「――でも、もう大丈夫です。お互い、話し(・・)もありますし、ね……おっと、その前に、お菓子を持ってきてもいいですか?」


「ええ、どうぞ」


「ありがとうございます。では、いったん失礼します」


 言って、僕は台所に向かった。

 紅茶は、テーブル上のポットに十分ある。

 特に冷め切っている訳でもない。

 ……となると。

 何はともあれお菓子を、そして紅茶用に追加のジャムを取って来るとしよう。


「まだあったかな……?」


 ジャム瓶のストックはたくさんある。

 問題はだから、紅茶に添える焼き菓子の方だ。


「缶は……あった」


 手のひらに収まる程度の、丸く平たいブリキの缶。

 そっと開けてみる。

 ――不意に思い出した。

 ついこの前、何を焼いたかを。

 辺りに溢れるのは、クッキーを焼くときに使ったスパイスの匂い。

 妙な匂いも特にしない。

 なら、これでいいだろう。

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