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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク
180/350

ことば

「――彼女に誓って、嘘偽りのない言葉を誓いましょう。……これで、よろしいですかな?」


「ええ。あなたの誓いに感謝します。では、僕は――」


 そう言いかけて、僕は言いよどむ。

 僕は神も、主も信じない。

 と言って、人へと誓うのは違う気がする。

 いくら身近であっても、他人は他人でしかない。

 僕と他人は別の存在だ。

 僕の考えを、他人は何も保証しやしない。


「ええっと……」


 果たして、どうしたものだろう。

 もちろん、何をどうする、と言うことは出来る。

 けれどもその誓いは、僕にとって何をも意味しない。

 無意味な儀礼を平然と行えるほど、僕は老成してはいなかった。


 いや、本当のところ、既に成された誓いだってそうだ。

 目の前の老人はおそらく、誓いをたがえることはない。

 僕にとってそう思える、ただそれだけなのだ。


 何気ないはずの、目の前にいる老人の誓い。

 その誓いの何気なさが、ほんの僅か、うらやましくもあった。

 それが甘さなのかと言われれば、おそらくはそうなのだろうけど。

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