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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク
179/350

野心

 とは言うものの。

 僕の野心は今、置いておくとしよう。

 最初から露骨にするのは、どう考えても得策ではない。


「かしこまりました。では、何に誓ってもらいましょう?」


 主でなくとも、神でなくともいい。

 ただ“言葉をたがえない”との言葉でさえあればいい。

 自ら述べた誓いでさえあれば、対象は何だって構わない。

 少なくとも、僕にとっては。


「そう、ですな――」


 一瞬の思案の後、老共産主義者(コミュニスト)、セルゲイ氏の提案は成される。


「――カール・マルクス、では芸がないですな。第一、彼の身内は資本家階級(ブルジョワジー)だ。ふむ――では、あの子に誓いましょう」


「あの子?」


「先程までいた、われらが天使に、ですよ」


 その誓いは、決して悪くないように思われた。

 少しの間を置き、僕は答える。


「了解しました。では、今この場での宣誓をお願いできますか?」


「ええ」


 一瞬、老人は手を十字に切りかけ、仕草をとめる。

 右から切る十字は、確かロシア正教だったか。

 いずれにしろ、かつての信仰の名残なのだろう。

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