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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク
177/350

主義信仰

「主に誓って、ですか」


「ええ」


「――それは、私の身ではできかねますな」


 予想外の答えに、少しだけ間が空く。


「……誓うことができない、と言う意味ですか?」


「いえ、誓いはしましょう。ただ、主には誓えない(・・・・・・・)との意味です」


 ロシア正教会の信徒ではない、と言うことか。

 これまた、意外だった。

 ではカトリックかプロテスタントか――そこまで考え、僕は気付く。

 いや違う。どちらにしろ、それなら主に誓えるはずだ。

 ならばユダヤか、はたまたイスラムか……いやこれ以上、深入りするつもりはない。

 またその意味も今は薄いはずだ。


「失礼しました。では、あなたは――」


「――欧州に幽霊が出る(・・・・・・・・)


 その一節には、覚えがあった。

 ロシア語学科の出であれば、知っていて不思議ではない代物。

 僕は思わず、その先を口に出す。


共産主義という幽霊が(・・・・・・・・・・)


「――仰る通りです」


「なるほど……」


 確かに、それは誓えないだろう。

“宗教とは悩める者の溜め息であり、鎮痛剤たる阿片である。”

 そう喝破した信仰(・・)の下では。

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