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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク
168/350

子供心

 やがて食卓はあらかた片づき、食後の時間になる。

 食後、つまりロシアンティーの時間に。

 心持ち濃い目に淹れた、熱い紅茶。

 添えるのは果物を砂糖で煮たジャム、いわゆる浅煮ジャム(ヴァレニエ)だ。


 いつもより多い来客に、思い切って新しいジャム瓶を出した。

 イチゴ、オレンジ、それにブルーベリーのジャムを。

 使うのは紅茶カップにジャムの取り皿、そして小スプーン。

 小スプーンはジャムをとるのに使う。


 ジャムは紅茶に混ぜない。

 そんなことをすれば紅茶が冷えるし、ジャムも量が必要になる。

 取り分けたジャムを直接なめながら、紅茶を飲む。

 そうすることで甘味を強く感じるし、紅茶も熱いままだ。


「セルゲイさん、どうぞ。マリーナ、砂糖は入れる?」


「うん」


 正直なところ、この紅茶の濃さは子供にはまだ早い。

 早いからこそ、砂糖の甘さが必要になってくる。

 それでも、マリーナが薄い紅茶を拒むのは……たぶん、背伸びしたくなる歳でもあるのだろう。

 十歳と少し。その年頃の心境を、今になって思い出すのはむずかしい。

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