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魔王少女スターリナ  作者: 祭谷一斗
1902年、シベリア、イルクーツク
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心弱り

 賑やかさの合間の、不意の孤独。

 ほんの少しだけ考えて、僕は察した。

 これこそが、人をなにがしかの片隅に追いやる衝動――すなわち、心弱りなのだと。


「……どうしたの?」


 食事の手を止めた僕を、マリーナがのぞき込んでいる。

 どうやら思ったよりも、物思いにふけっていたらしい。


「ええっと……その」


 どうしたものだろう。

 大丈夫、などと言って誤魔化せるとは思えない。

 いざ自分の番になってみると、うまく返すことが出来ない。

 僕は否応なく、当事者であることを自覚させられる。

 ときに讃えられ崇められるような立場が、こうも忌まわしいものだとは。


「誰しも、ぼうっとするときもあるさ。――そうだろ、ユーリさん」


 助け船を出してくれたのは、マリーナの横に座るセルゲイ老人だった。

 あるいは何かを察してくれたのだろうか。

 ともあれ、この場での助けには違いない。

 僕は急速に、落ち着きを取り戻していく。


「――ええ、そうですね。ごめんねマリーナ、心配かけたかな?」


「うん」


 返事の素直さに、僕は苦笑する。

 子供にも分かる隙とまでは、いろいろな意味で思いたくない。


「いや、申し訳ないね。もう大丈夫だから」


 これは本心だった。

 案ずることはないはずだ。

 この団らんに、今は浸っていればいいのだから。

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